教員のための情報教育FAQ

登録番号:C04-005  D1:教科における情報活用能力の育成

Q. 社会科の学習で情報活用能力は育成できますか。

A. これまでの授業でも情報活用能力が身につきますが、少し意識するだけでより効果的に育成できます。

社会科は情報活用能力を育成するのに適した教科です。これまでの授業でも情報活用能力が身につきますが、少し意識するだけでより効果的に育成できます。

ここでは、「日本文教出版3・4年社会」を例に取り上げます。
 *他社の教科書にも同様の単元は設定されています。


小学校5年「くらしを支える情報」の事例は 


具体的な実践例

【単元】
小学校3年 わたしたちのくらしとまちではたらく人びと(日本文京出版 3・4年社会 上)
      『買い物をしている店について調べよう。』

【単元のねらい】
・販売の仕事は、消費者の多様な願いを踏まえ売り上げを高めるよう、工夫して行われていることを理解する。
・消費者の願い、販売の仕方、他地域や外国との関わりなどに着目して、販売に携わっている人々の仕事の様子を捉え、それらの仕事に見られる工夫を考え、表現する。

わたしたちのくらしとまちではたらく人びと ~一般的な展開例~

 この単元では、わたしたちの暮らしを支えてくれている様々なお店やそこで働く人々について調べます。
一般的には次のような展開が多いのではないでしょうか。

(1)よく買い物に行くお店や近くのお店をみんなで紹介し合う。
(2)自分の家では、普段どんな店でどんなものを買っているか調べ、交流する。
(3)スーパーマーケットについて調べ、まとめる。

 ①教科書の挿絵や、経験からスーパーマーケットについて知っていることや予想したことを出し合う。
 ②実際に見学に行き、お店の様子を調べたり、働いている人にインタビューしたりする。
 ・ここでは、「販売の工夫、陳列や値段・表示の工夫」など、お店の人たちが“情報を活用”していることから学ぶこと自体に大きな意味があるということを指導者は理解しておく必要があると考えます。
 ③調べて分かったことを個人や班でまとめる。(壁新聞や模造紙などに)

 このような一般的な展開でも、地図を活用したり、ワークシートを使って自分の家の買い物調べをしたりする中で、情報活用能力は育成されます。また、「まとめ」の段階では写真やイラストなどを活用して、下の例のように壁新聞などにまとめます。これだけでも十分に情報活用能力を育成することができます。

~「まとめ」の指導例~

【発問】
スーパーマーケットについて調べてわかったことや感想を壁新聞にまとめましょう。

【予想される児童の活動】
・見学先で見たり調べたりしたこと、働いている人や買い物に来ている人にインタビューしたことなどをもとに記事を書く。 
 例)広告を見て、お店が情報をどのように発信しているか、それを客がどのように受け取っているかなど、インタビューや見学を通して理解したことをまとめられるようにするとよいでしょう。
・売り場の様子や売っているもの、売り場の工夫などについて写真やイラストを描いて新聞に貼る。

情報活用能力を意識すると

例)スーパーマーケットを調べてわかったことを見やすくまとめよう。
一般的な展開でも情報活用能力の育成につながっていきますが、最後の「まとめ」の段階で情報活用能力の育成を少し意識して指導するだけでより効果的になると考えます。
例えば、壁新聞を作る際、調べてわかったことを表にするだけでも大きな違いがあるはずです。

このような表を作って、壁新聞の中に取り入れるとよいでしょう。



【発問】
スーパーマーケットについて調べてわかったことや感想を壁新聞に見やすくまとめましょう。

【ポイント】
・実際に見学したり、インタビューしたりしたことをもとに、項目ごとに表にまとめます。
・働く人の数、品ぞろえ、来客数など複数の情報を見やすくまとめることのよさに気づかせます。
・児童の実態に応じて、あらかじめいくつかの項目を設定しておくのもよいでしょう。
・ペアや班で意見を交流したり、まとめて発表したりする機会を持つことが大切です。
・この表を生かして、壁新聞をつくったり、わかったことをまとめたりする活動へとつなげていくことが大切です。
・お店の工夫(情報の発信のしかたなど)について気づいたこと、学んだことを生かすような展開ができるとよいでしょう。

【身につく力】
・集めた情報の共通点や相違点を話し合い整理する力が育ちます。〈A31-2-020〉
・分類・整理した情報を読み取り、分かったことを拾い出す力が育ちます。〈A32-2-020〉
・調べたことと自分の意見を区別して、表現する力が育ちます。〈A41-2-040〉

理解度CHECK!

次のうち、社会科のねらいを達成しつつ、情報教育のねらいにも対応している学習活動はどれでしょう。
あてはまるものすべてにチェックをしましょう。


調べてきた「よく行くお店」を地図上に表す活動
お店の人への質問内容を班ごとに分類整理する活動
お店を見学したり、インタビューしたりして分かったことを項目ごとに分類する活動
表やグラフを使って見やすくまとめる活動

  ▲ 選んだら を押してください。

根拠となる資料

2 第3学年の内容(新学習指導要領解説 社会編 P.38)
イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
(ア) 仕事の種類や産地の分布,仕事の工程などに着目して,生産に携わっている人々の仕事の様子を捉え,地域の人々の生活との関連を考え,表現すること。
(イ) 消費者の願い,販売の仕方,他地域や外国との関わりなどに着目して,販売に携わっている人々の仕事の様子を捉え,それらの仕事に見られる工夫を考え,表現すること。

第4章 指導計画の作成と配慮事項(新学習指導要領解説 社会編 P.134)
1) 単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,児童の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,問題解決への見通しをもつこと,社会的事象の見方・考え方を働かせ,事象の特色や意味などを考え概念などに関する知識を獲得すること,学習の過程や成果を振り返り学んだことを活用することなど,学習の問題を追究・解決する活動の充実を図ること。