No. 40: リサーチ!学校生活

◆ 校種 ◆
中学校
◆ 教科 ◆
総合的な学習の時間
◆ 学年 ◆
1,2,3年
◆ 時間数 ◆
8時間
◆ 教科書 ◆

授業の概要
 実際に自分たちの日常的な生活にかかわるアンケートを作成し校内で実施する。回収したアンケート結果をコンピュータに入力し統計処理をおこないグラフ化する。さらに考察を加えたまとめを作成することで、一連の「調査活動」の過程を経験する。これらの活動によって、共同作業の方法や、コンピュータによる統計処理方法、考察のポイントなどを学び、資料を読み解く力を養う。

教科の目標
・アンケート集計結果から統計上の特徴を読み取り、自分の考えを文章化することができる。
・回答する立場になり、わかりやすいアンケート作成やグラフ作成を進めることができる。
・疑問点や驚いた点、統計上の発見などをグループで話し合い、自分の意見をきちんと表明することができる。
・「男女間の相違」「学年やクラスによる相違」などから比較検討をおこない「資料を読み解く力」を身に付ける。

情報教育目標リスト(2011年版)
 ◆A21-3-100: 調べたい事柄をアンケート形式で質問紙にまとめる〔思考〕
 ◆A32-4-030: 複数の情報やデータから見つけた傾向や規則性を、文章にまとめる〔判断〕
 ◆A31-4-020: 自分で観点を決めて情報を分類・整理する〔思考〕
 ◆B44-4-010: 表計算ソフトの機能を使って、データを表にまとめたり、並べ替えたり、検索したりする方法を知る〔知識理解〕

学習の流れ

みんなで話し合いながらアンケート項目を考える

回収したアンケートをチェックする

アンケート結果を「集計シート」に入力していく

集計結果をグラフ化

グラフを見ながら考察を加えていく

STEP1
○日常生活や学校生活で知りたいことを出し合いアンケート用紙の作成をおこなう。
(例えば「睡眠時間」「苦手な教科」「TVの視聴時間」「電話の時間」など)
・グループで相談し、できるだけ多くのアンケート項目を出し合う。
・地域に密着するような内容(特産物を選ぶ、地域の偉人と言えば等学習的な要素を含むアンケートから、芸能人や趣味的なものまで様々な意見が出されると想定されるが、できれば1つの班でアンケートのテーマを統一することが望ましい。
・コンピュータで集計し、統計処理することを考慮し、問いや選択肢などの条件(5段階記述、自由記述、または「はい・いいえ・どちらともいえない」など)を伝え、回答する立場に立って、書きやすい工夫をおこなう必要があることを伝える。
・各班5〜6人でアンケート項目は10程度に留めておくと良い。

STEP2
○アンケートを必要枚数印刷し、配布や回収の方法を相談し、段取りを整える。
・アンケートを回収し、人数や記入状態をチェックする。
・どの程度の人数で集計するかを決めておく。100人程度が処理上やりやすい。

【指導者側の準備】アンケートの結果を入力するための「統計結果入力シート」を表計算ソフトで事前に作成しておく。
統計処理の概念や方法は説明する必要があるが、表計算ソフトの統計関数まで立ち入る必要はない。

STEP3
○班内で分担して、表計算ソフト上の「統計入力シート」へアンケートの集計結果を入力していく。
・「統計結果入力シート」は事前に指導者側で作成しておく(すぐにグラフ化できるように統計結果をわかりやすくアウトプットできるように工夫しておくといい)。

STEP4
○「統計入力シート」から結果を集計し、調査内容に適したグラフを作成する。
・アンケート内容に応じて「適切なグラフ」を作成できるように支援する。

STEP5
○作成したグラフから「統計上の特徴」を読み取り、結果と考察を加えて、報告書を作成する。
・集計結果・考察は印刷物としてまとめるために、ワープロソフトを使って仕上げる。
・必要に応じて、他の班の資料と比較したり、インターネット上から同様な資料を探して比較するなど、考察を深める工夫を促す。

STEP6
○「アンケート結果報告書」を各自印刷して掲示し、「相互評価」をおこなう。そこで、お互いに「改善点」を出し合えるようにする。
・内容に関して、見た目の結果だけではなくて、予想・仮説・比較検討などができているかを評価ポイントとしたい。

まとめ
 統計資料から読み取れる事実や結果を率直に述べることは必須であるが、結果から予想される「仮説」や男女間や学年間での「相違点」などにも着目し、他の資料との比較検討するような内容も付け加えたい。
 STEP6での相互評価を経て、改善を加えた後には、アンケート結果を広報する活動をおこないたい。最終的には、印刷物を全校生徒が見ることができるように掲示する。

実践のポイント
 アンケートを取る場合には、その集計方法を事前に知っておく必要があり、数字で答えるのか項目を選択するのか自由記述なのかを考えながら作成していかなければならない。ここで失敗すると、後々の処理が大変になり実践自体がうまくいかなくなる恐れがあるので慎重にいきたい。また、アンケート結果を入力していく「集計シート」の作成においては、子どもたちには困難で複雑な操作が必要なため指導者側が準備してもかまわないだろう。
 また、今回は統計資料を読み解く力の育成に重点を置いているために、調査項目にはできるだけ子ども達の興味を持つような内容のものをピックアップしたい。