No. 59: 巣立ちに向けて〜中学校との交流〜

◆ 校種 ◆
小学校
◆ 教科 ◆
道徳
◆ 学年 ◆
6年
◆ 時間数 ◆
2時間
◆ 教科書 ◆

授業の概要
小学校の卒業を身近に意識し始める6年生3学期。新しくやってくる中学校生活への期待と不安が入り交じった時期である。間もなく体験することになる中学入学説明会や授業体験への導入段階は、心構えを築くためにも重要な位置にあるが、一方的で受け身になりがちである。そこで、電子掲示板による中学校との交流を設定した。巣立ちへの積極的な心づくりと同時に、情報モラルの育成を目的としている。

教科の目標
・次のステップへの目標も持った巣立ちに向けて、心構えの土台をつくる。
・時と場をわきまえ、礼儀正しく真心をもって接する。

情報教育目標リスト(2011年版)
 ◆A41-2-020: 電子掲示板などを利用して、人の意見を読んだり、自分の意見を書き込む〔体験〕
 ◆A41-3-080: 効果的に伝わるよう、表現の方法を考える〔思考〕
 ◆C13a2-030: 安易な個人情報の発信の危険性を理解し、避けることができる〔行動〕
 ◆C22-3-050: 受け手の気持ちや状況を考えて、情報を発信する〔認識〕

学習の流れ


掲示板画像1 中学校の先生へ発信

中学校の先生から返信

STEP1
・もうすぐ中学生
・中学校はどんなところ?ディスカッションによってイメージをふくらます 
・学習、部活動、校則など、小学校とはちがうところ。
・聞きたいこと、知りたいこと。
・文章にまとめて、電子掲示板に書きこむことを意識しておく。 

STEP2
・意見を発信しよう
・電子掲示板におけるマナーやエチケットを考え、最後には中学校の先生宛に発信する。
・はじめての発信に対しては、すぐに返信してもらえるように教師間で連携をとっておくと、子どもたちの喜びも大きい。
・電子掲示板虎の巻用紙
・電子掲示板の利点や注意を払う点について、ディスカッションで約束を決めながら進める。
・文章表現のマナーや工夫についても、ディスカッションの中で深めていく。

まとめ
・6年生の子どもたちにとって、中学校が遠い存在から身近なものに変わるきっかけとなった。
・すぐに発信返信ができるというメリットが、有効にはたらき、子どもたちの興味関心は高かった。
・ディスカッションの中で、個人名をのせるかのせるべきでないかが話題の中心になったが、のせないことが正しいという認識よりも、名前や個人の情報を発信することへの自覚や責任の育成が必要だと思われる。

実践のポイント
・電子掲示板を利用するため、見る人は小中学校関係者に限らず不特定多数であることを捉えさせるとともに、発信した情報にきちんと責任を持たせる意識づくりが必要である。電子掲示板を利用する上での注意点を話し合い、虎の巻として共通認識できるよう掲示すると今後も目に留まる。
・手紙の書き方や敬語の使い方について、国語科での学習を基礎にして、相手に見合った文章の書き方を考え工夫する。
・事前に小中学校教師間の連携が必要である。質問には、基本的に教師によって返答してもらうようにし、学校の実態に応じては、中学校生徒会との意見交換も可能である。
・タッチタイピングによる文章入力をするため、日頃からの子ども用タイピングソフトでの練習や、見やすい場所でのローマ字表提示などの支援が必要である。
・一人ひとりが個々に書きこんだのでは答える側も大変なので、はじめの導入では全体で意見をまとめながら、指導を細やかに入れて学習を進めるのが好ましい。授業後に生じる質問は、マナーを守って、個々またはグループごとで掲示板に書きこむ方法をとる。掲示板も期間を決めておき、さらに聞きたいことなどは、入学説明会で直に質問するよう指導する。
・メールアドレスが入手可能な場合は、電子掲示板の代用として電子メールを使用しても、特定の人が見るということ以外は、ほぼ同等の学習効果が得られる。