No. 82: 「鳴かぬなら…戦国の三武将プレゼン大会!」

◆ 校種 ◆
小学校
◆ 教科 ◆
総合的な学習の時間
◆ 学年 ◆
6年
◆ 時間数 ◆
10時間
◆ 教科書 ◆

授業の概要
もっともダイナミックな日本史上の時代の一つ、戦国時代。そこで活躍した三武将(織田、豊臣、徳川)の性格は極めて対照的であった。
この単元では3人の業績を調べてまとめて発表する活動を通し、武将の特徴を明らかにし、聞き手にわかりやすく伝えるプレゼンテーションを作成する。決められた時間と形式で発表することで、プレゼンテーションのスキルを高める。

教科の目標
○ 戦国時代の3人の武将について調べてまとめ、発表し合う中で、その生き方の相違や共通性に気づく。
○ 3人の武将について「調べたこと」「わかったこと」「思ったこと」を区別し、発表の意図が聞き手に伝わるように、内容の順序やつながりを考えて発表資料を作成し、発表する。
● Webや図書からプレゼンテーションの意図に沿った画像や解説を選び、自分の発表の意図に沿って再構成して発表に利用する。
● アイコンタクトや発声、資料提示の仕方など、聞き手を意識したプレゼンテーションをする。

情報教育目標リスト(2011年版)
 ◆A21-3-050: 他の情報と比較しながら、必要な情報を集めることができる〔行動〕
 ◆A41-3-110: 考えたことや自分の意図が相手に伝わりやすいよう話を組立てる〔思考〕
 ◆A42-3-030: 発表する内容を吟味しながら、聞き手に伝わりやすいスライドを作成する〔行動〕

学習の流れ

作成したシートを発表会で説明している児童

シートを持ちプレゼンしている男の子

シートを持ちプレゼンしている女の子

プレゼンをする男の子と聞く子どもたち

STEP1
戦国の三武将、調べたい人を決めよう(課題把握)
●3人の武将(織田、豊臣、徳川)の人柄を表す「鳴かぬなら…」の句を読み、3人の性格を想像し、誰に共感するかなど感想を話し合い、ワークシートに書き込む。
・ 調べたいと思う武将を選び、4人前後のグループに分かれる。
ワークシート 「ステップ1−1」

STEP2
選んだ武将について調べてまとめよう(調査、再構成(1))
● 武将について個々にその業績を調べ、カード(調べたことカード3枚)に書き込む。(2時間)
【教師の手立て】 調べたことを3点に絞らせることで、「そこからなにがわかったか」をより明確に意識化できるようにする。

わかったことを「わかったことカード」にまとめ、自分の思いや感想はカード「感想カード」に書き込む。(1時間)
・調べたことがわかる武将の行動のねらいや思いを「わかったことカード」に書く。それらに対する自分の感想や思いは「感想カード」に書く。
【教師の手立て】 調べたこととわかったことが区別されているか、内容につながりがあるかを意識させるよう働きかける。
作成したシートを発表会で説明している児童
ワークシート「ステップ2−1調べた事カード」「ステップ2−2Aわかったことカード]「ステップ2−2B感想カード」

STEP3
グループ内コンペで、プレゼン資料をまとめよう(発信(1)、評価(1)、再構成(2))
● STEP2のカードを使って、グループ内でミニ発表会(コンペ)をし、グループ発表内容を決める。(1時間)
・ 互いの発表を聞き合い、調べたこと、わかったことが区別できているか、つながりはあるか、アイコンタクトや発声、資料の書き方・見せ方は適切かを観点に相互評価カードでチェックし合う。

● グループ全員のカードを分類整理して再構成し発表内容を決め、発表練習をする。 (3時間)
・ グループの「調べたことカード」を分類し、わかったことにつなげながら再構成する。
・ わかったことをわかりやすく伝えるための「見出し」「キーセンテンス」を工夫する。
シートを持ちプレゼンしている男の子
ワークシート「ステップ3友達の発表を評価しよう」

STEP4
プレゼン大会をしよう(発信(2)、評価(2))
● グループごとに戦国武将について調べたことを発表し、友達の発表を聞く。(1時間)
・ 友達の発表で内容的にわかったこと、良かったことを相互評価カードに記入する。
【教師の手立て】 調べたこととわかったこと、思ったことが区別されているか、内容につながりがあるかを意識させるよう働きかける。
ワークシート「ステップ4」

STEP5
振り返りをしよう(評価(3))
●発表を振り返り、良かった点、直したら良い点について振り返る。
・ 相互評価カードを集約、個人に配布したものを見ながら、自分の発表について自己評価カードに記入する。
ワークシート「ステップ5プレゼン大会のふり返りをしよう」
【教師の手立て】相互評価と自己評価を見比べ、友だちから見た自分の発表の良かったところ、次の発表の機会には直したいところを書くように働きかける。

まとめ
○学習を通して残った自己評価、相互評価カードや発表資料を見直し、自分や友達の発表の良かったところ、直したら良いところを振り返り、次の発表の機会に活かせるようにする。

実践のポイント
● 前提とする学習経験
(1)模造紙や画用紙などに調べたことをまとめてクラスなどで発表したことがある。
(2)インターネットのWeb検索、図書室の図書資料を使った調べ学習をしたことがある。
● 単元の初めに
発表に使う用紙の大きさ・枚数には制限を加えます。特に、発表時間の制限は学習の初めに伝え、自分の言いたいことを簡潔にまとめて伝える意識付けをさせてください。それらにより、見る側として、資料の見せ方や内容の比較が容易になります。相互評価が簡潔かつ適切に行えれば、最後のステップで相互評価を見ながらの自己評価もしやすくなります。
● 題名を変える場合の注意
本単元の学習材として取り上げた「戦国の三武将」は6年生の社会科の歴史学習を前提としていますが、これはあくまで例示です。この他の学習材をテーマにした単元構成を柔軟に考えてみてください。
例えば「私たちの『町の先生』を探せ!プレゼン大会」などはどうでしょうか。地域のために地道にボランティア活動等を続けている人々を探し、彼らの仕事、思い、生き方などをインタビューなどで調べてまとめる活動を行うこともできるのではないでしょうか。そのような活動を組む場合は、本単元にはなかった「インタビュー」のスキルを視野に入れた単元構成も可能になるでしょう。