特定非営利活動法人情報ネットワーク教育活用研究協議会(JNK4)では、ICT支援員の社会的認知(位置づけ)に関するアンケートを実施し、その結果について取りまとめましたので、以下の通り公表します。
【目次】
- ●これまでのICT支援員認定試験合格者の概要
- (1)~(3)合格者総数(2020年1月現在)・年次推移・性別・年齢分布など
- (4)ICT支援員認定者の都道府県分布
- (5)都道府県別学校数とICT支援員認定者
- ●ICT支援員の実態に関するアンケート調査(記述統計のみ)
- (1)~(4)回答者の性別・年齢分布・都道府県分布・認定合格時期
- (5)~(7)資格取得後の変化の有無・取得している資格(複数回答)・ICT支援員として働いているか
- (8)~(9)訪問したことのある学校種(複数回答)・最も訪問回数の多い学校種
- (10)~(11)ICT支援員の経験年数・実際にやってきた(あるいはやったことのある)仕事
- (12)~(17)雇用主体・雇用形態・2018年の年間収入・労働契約について・勤務時間
- (18)~(22)給与形態・時給・地域・生計など
- (23)研修について
- (24)現在ICT支援員として働いていないと答えた人(118名)の現在の職
- (25) ICT支援員の社会的認知を上げるために必要な活動
これまでのICT支援員認定試験合格者の概要
ICT支援員に関する認定試験は、2013年6月より、毎年2回(6月および10月または11月)に「教育情報化コーディネータ認定委員会」のICT支援員認定試験実行委員会によって実施されてきている。認定試験はA領域(主としてICTの活用や教育支援に関連する知識)とB領域(コミュニケーションや説明力)の双方に合格しなければ認定には至らない。特にB領域の審査方式では教育現場等からの質問に対し、短時間に的確なことばで、回答する能力を求めており、自撮りの動画で提出された解答を、4~5名の審査員によって評価する方式をとっている。座学としての知識だけでなく、実践に即した能力も認定の対象となっているところに特徴がある。
これまでの総受験者数は、2020年1月の段階で、のべ 2,913 名にのぼり、そのうち、これまでに合格した者は、1,549 名であり、平均的合格率は 53.2%ということになる。この1,549 名の合格者の基本的な情報をまとめると以下のようになる。
(1)これまでの合格者総数(2020年1月現在)および 年次推移
1,549 名
認定年度 | 人数 |
---|---|
2013年 | 67 |
2014年 | 194 |
2015年 | 284 |
2016年 | 309 |
2017年 | 222 |
2018年 | 189 |
2019年 | 284 |
2013年から始まったICT支援員認定試験の合格者は、2013年の67名から翌年は3倍に増え、毎年2~300名の合格者を輩出していることがわかる。
(2)ICT支援員認定者の性別分布
性別 | 人数 | % |
---|---|---|
女性 | 599 | 38.7 |
男性 | 950 | 61.3 |
総計 | 1549 | 100 |
(3)ICT支援員認定者(合格時)の年齢分布
人数 | % | |
---|---|---|
~20歳未満 | 2 | 0.1% |
20歳以上~25歳未満 | 52 | 3.4% |
25歳以上~30歳未満 | 175 | 11.3% |
30歳以上~35歳未満 | 189 | 12.2% |
35歳以上~40歳未満 | 234 | 15.1% |
40歳以上~45歳未満 | 297 | 19.2% |
45歳以上~50歳未満 | 262 | 16.9% |
50歳以上~55歳未満 | 186 | 12.0% |
55歳以上~60歳未満 | 115 | 7.4% |
60歳以上~65歳未満 | 29 | 1.9% |
65歳以上~ | 8 | 0.5% |
総計 | 1549 | 100.0% |
(4)ICT支援員認定者の都道府県分布
都道府県名 | 人数 | 都道府県名 | 人数 |
---|---|---|---|
北海道 | 30 | 滋賀県 | 15 |
青森県 | 14 | 京都府 | 39 |
岩手県 | 16 | 大阪府 | 148 |
宮城県 | 5 | 兵庫県 | 47 |
秋田県 | 2 | 奈良県 | 19 |
山形県 | 6 | 和歌山県 | 8 |
福島県 | 45 | 鳥取県 | 21 |
茨城県 | 36 | 島根県 | 9 |
栃木県 | 14 | 岡山県 | 21 |
群馬県 | 8 | 広島県 | 31 |
埼玉県 | 53 | 山口県 | 6 |
千葉県 | 83 | 徳島県 | 6 |
東京都 | 219 | 香川県 | 11 |
神奈川県 | 142 | 愛媛県 | 5 |
新潟県 | 20 | 高知県 | 1 |
富山県 | 14 | 福岡県 | 112 |
石川県 | 6 | 佐賀県 | 13 |
福井県 | 4 | 長崎県 | 7 |
山梨県 | 3 | 熊本県 | 23 |
長野県 | 12 | 大分県 | 10 |
岐阜県 | 43 | 宮崎県 | 12 |
静岡県 | 40 | 鹿児島県 | 13 |
愛知県 | 86 | 沖縄県 | 50 |
三重県 | 21 | 合計 | 1549 |
a)ICT支援員認定者の多い都道府県
道府県名 | 人数 | |
---|---|---|
1 | 東京都 | 219 |
2 | 大阪府 | 148 |
3 | 神奈川県 | 142 |
4 | 福岡県 | 112 |
5 | 愛知県 | 86 |
6 | 千葉県 | 83 |
7 | 埼玉県 | 53 |
8 | 沖縄県 | 50 |
9 | 兵庫県 | 47 |
10 | 福島県 | 45 |
b)ICT支援員認定者の少ない都道府県
道府県名 | 人数 | |
---|---|---|
47 | 高知県 | 1 |
46 | 秋田県 | 2 |
45 | 山梨県 | 3 |
44 | 福井県 | 4 |
43 | 宮城県 | 5 |
42 | 愛媛県 | 5 |
41 | 山形県 | 6 |
40 | 石川県 | 6 |
39 | 山口県 | 6 |
38 | 徳島県 | 6 |
(5)都道府県別1認定者当たりの学校数
都道府県名 | "認定者1人あたりの学校数" | 都道府県名 | "認定者1人あたりの学校数" |
---|---|---|---|
北海道 | 68 | 滋賀県 | 27 |
青森県 | 39 | 京都府 | 19 |
岩手県 | 37 | 大阪府 | 13 |
宮城県 | 146 | 兵庫県 | 30 |
秋田県 | 195 | 奈良県 | 21 |
山形県 | 74 | 和歌山県 | 57 |
福島県 | 18 | 鳥取県 | 11 |
茨城県 | 25 | 島根県 | 41 |
栃木県 | 45 | 岡山県 | 32 |
群馬県 | 74 | 広島県 | 29 |
埼玉県 | 28 | 山口県 | 96 |
千葉県 | 17 | 徳島県 | 57 |
東京都 | 12 | 香川県 | 27 |
神奈川県 | 12 | 愛媛県 | 101 |
新潟県 | 43 | 高知県 | 426 |
富山県 | 25 | 福岡県 | 12 |
石川県 | 62 | 佐賀県 | 25 |
福井県 | 83 | 長崎県 | 90 |
山梨県 | 110 | 熊本県 | 28 |
長野県 | 58 | 大分県 | 49 |
岐阜県 | 15 | 宮崎県 | 37 |
静岡県 | 25 | 鹿児島県 | 67 |
愛知県 | 20 | 沖縄県 | 10 |
三重県 | 31 |
各都道府県の全学校数をICT支援員認定者数で割った値。すなわち、認定者が全員仕事に就いているとしたら、一人何校を支援することになるかを示した数字を示す
a)ICT支援員1人当たり担当学校数の少ない都道府県
都道府県名 | ICT支援員認定者 | 認定者1人あたりの学校数 |
---|---|---|
沖縄県 | 50 | 10 |
鳥取県 | 21 | 11 |
神奈川県 | 142 | 12 |
福岡県 | 112 | 12 |
東京都 | 219 | 12 |
大阪府 | 148 | 13 |
岐阜県 | 43 | 15 |
千葉県 | 83 | 17 |
福島県 | 45 | 18 |
京都府 | 39 | 19 |
愛知県 | 86 | 20 |
実際に、ICT支援員による支援が行われている割合が高いと思われる都道府県である。
b)ICT支援員1人当たり担当学校数の多い都道府県
都道府県名 | ICT支援員 認定者 | 認定者1人あたりの学校数 |
---|---|---|
高知県 | 1 | 426 |
秋田県 | 2 | 195 |
宮城県 | 5 | 146 |
山梨県 | 3 | 110 |
愛媛県 | 5 | 101 |
山口県 | 6 | 96 |
長崎県 | 7 | 90 |
福井県 | 4 | 83 |
群馬県 | 8 | 74 |
山形県 | 6 | 74 |
多くの、ICT支援員の認定を受けていない者が支援を行っている都道府県ということになる。
ICT支援員の実態に関するアンケート調査(記述統計のみ)
アンケート調査(ICT支援員の社会的認知(位置づけ)に関するアンケート)は、これら既認定者のうち、初回の2013年6月より2018年11月までにICT支援員認定試験認定に合格した 1287名に対して実施した。合格者全員ではなく合格後1年以上経過したものだけを対象にしたのは、認定書取得の結果が社会にどのように認知され実態に影響を与えているかを把握するためであり、今後も1年遅れで取得者の実態調査を続ける予定である。
方法は、受験申込時に登録されたメールアドレスに匿名を保証する形で、回答を依頼したが、すでにそのメールアドレスを利用しておらず、バウンスしてきたメールが200通弱あった。したがって実際に依頼が届いたものは1100通あまりと思われる。また期日までに回答のあったものは、238名であった。以後はその回答に対する統計資料である。
(1)回答者性別分布
性別 | 人数 | % |
---|---|---|
女性 | 102 | 42.9 |
男性 | 136 | 57.1 |
総計 | 238 | 100.0 |
回答者の性別は、男性57%女性43%であった。
(2)回答者年齢分布
年齢 | 人数 | % |
---|---|---|
20歳以上~25歳未満 | 3 | 1.3% |
25歳以上~30歳未満 | 10 | 4.2% |
30歳以上~35歳未満 | 24 | 10.1% |
35歳以上~40歳未満 | 22 | 9.2% |
40歳以上~45歳未満 | 42 | 17.6% |
45歳以上~50歳未満 | 46 | 19.3% |
50歳以上~55歳未満 | 41 | 17.2% |
55歳以上~60歳未満 | 34 | 14.3% |
60歳以上~ | 16 | 6.7% |
総計 | 238 | 100.0% |
回答者の年齢層は40歳~55歳に集中し、それぞれ17~20%を占めていた。60%未満(14%)も含めると、40歳~60歳の中年層でほぼ全体の70%を占め、社会の中の中堅層にあたる方がアンケート調査にご協力くださったことがわかる。ちなみに、この年齢層(40歳~60歳)の資格保有率は、全体の53%である。
各年齢層の男女比を見ると、女性は30歳以上から数値が増え始めており、子どもが小さい頃の女性数の低さが、男女比の差に表れていることがわかる。
(3)回答者の都道府県分布
都道府県名 | 人数 | 都道府県名 | 人数 |
---|---|---|---|
北海道 | 5 | 三重県 | 1 |
青森県 | 2 | 滋賀県 | 5 |
岩手県 | 5 | 京都府 | 4 |
宮城県 | 2 | 大阪府 | 19 |
山形県 | 2 | 兵庫県 | 8 |
福島県 | 4 | 奈良県 | 5 |
茨城県 | 8 | 和歌山県 | 1 |
栃木県 | 2 | 鳥取県 | 6 |
群馬県 | 1 | 島根県 | 3 |
埼玉県 | 8 | 岡山県 | 6 |
千葉県 | 16 | 広島県 | 3 |
東京都 | 28 | 香川県 | 1 |
神奈川県 | 26 | 愛媛県 | 1 |
新潟県 | 5 | 山口県 | 3 |
富山県 | 2 | 福岡県 | 10 |
福井県 | 1 | 佐賀県 | 4 |
石川県 | 1 | 熊本県 | 3 |
山梨県 | 1 | 大分県 | 4 |
岐阜県 | 3 | 宮崎県 | 1 |
静岡県 | 6 | 鹿児島県 | 1 |
愛知県 | 11 | 沖縄県 | 10 |
総計 | 238 |
10名以上の回答が得られた都道府県は7都府県あった。5名以上の回答が得られたのは11道県。残りは4名以下の回答者で、一人も回答を得られなかった県も5県あった(秋田県、石川県、長野県、徳島県、高知県、長崎県)。
都道府県別の学校数と回答者分布を比較してみると、学校数に対して回答者の比率が高いのは、回答者が10名以上いるグループでは沖縄県、4名~9名のグループでは鳥取県と奈良県であった。学校数が多いにもかかわらず回答者が少なかったのは、北海道、埼玉県であった。
(4)回答者のICT支援員認定合格時期
時期 | 人数 | 対認定者比 |
---|---|---|
2013年 | 18 | 26.9% |
2014年 | 30 | 15.5% |
2015年 | 34 | 12.9% |
2016年 | 50 | 16.2% |
2017年 | 56 | 25.2% |
2018年 | 50 | 26.5% |
総計 | 238 | 18.0% |
2013~2018年の認定者は1265名。そのうちの約18%の方から回答をいただいた。
2013年、2018年、2019年の認定者からは、25%以上の方から回答があった。
(5)ICT支援員の資格を取った後変化があったかどうか
変化の有無 | 人数 | % |
---|---|---|
特にない | 178 | 74.8% |
変化があった | 60 | 25.2% |
総計 | 230 | 100.0% |
ICT支援員認定合格後変化があった人は25%。特にない人は75%であった。
この変化があった人に、どのような変化があったのかを聞いた。
a)変化があった人に対してどのような変化があったか
分類 | 人数 | % |
---|---|---|
地位向上 | 17 | 29.8% |
給与アップ | 14 | 24.6% |
仕事の幅が広がる | 10 | 17.5% |
新規受注 | 6 | 10.5% |
自信がついた | 3 | 5.3% |
ICT支援員に転職した | 3 | 5.3% |
その他 | 4 | 7.0% |
地位向上とは、「周囲の反応が変化した」「専任スタッフとなった」「重要な案件を任されるようになった」「先生からの質問が増えた」等資格取得の結果自身の地位が向上したと考えていると思われる回答を含んでいる。
給与アップとは「昇給した」「資格手当が付いた」等給与面で変化したという回答を含んでいる。
仕事の幅が広がるとは「ICT支援員導入提案に活用した」「ICT支援員と関わる仕事なので接しやすくなった」「ICT支援員として実際に働くようになった」等の回答を含んでいる。
新規受注とは「新たにICT支援員業務を受注した」等の回答を含んでいる。
「ICT支援員としての活動に自信がついた」等については3人、資格を得てICT支援員として働き始めた、転職した等についても3人の回答がある。
その他には「特になし」「変化はなかった。殆どの人がパソコンを使えるので、ICT支援が必要ないと思っている教育委員会があるため」「現在はICT支援員ではないが、異なる業務内容についても経験を活かしている」「何も改善することが無かったので諦めて転職した」という回答をまとめた。
(6)取得している資格(複数回答)
資格名 | 人数 |
---|---|
教育情報化コーディネーター(3級) | 55 |
教員免許 | 49 |
ITパスポート | 14 |
教育情報化コーディネーター(準2級) | 11 |
基本情報技術者 | 10 |
マイクロソフト系 | 6 |
教育情報化コーディネーター(2級) | 6 |
応用情報処理技術者 | 3 |
情報セキュリティマネジメント | 3 |
情報処理技術者 | 3 |
CCNA | 2 |
ICTプロフィシエンシー | 2 |
その他 | 7 |
他の資格 | 5 |
ICT支援員以外に取得している資格を複数回答で聞いた。教育情報化コーディネーター3級が最も多く、続いて教員免許、ITパスポートと続く。以下IT系の資格を抽出して集計した。このうち、ITパスポートには初級シスアド等を含む。基本情報技術者は情報処理Ⅱ種等を含む。
その他は、回答が1件であった資格をまとめたものである。また、他の資格には無線技士や音楽講師等の直接IT系とは関係が少ないと考えられる資格をまとめた。
(7)現在あなたはICT支援員として働いていますか
ICT支援員として | 人数 | % |
---|---|---|
働いていない(含まれていない) | 118 | 49.6% |
働いている(含まれている) | 120 | 50.4% |
総計 | 238 | 100.0% |
「現在ICT支援員として働いている、または業務に含まれている」と回答した人の割合と、「働いていない、または業務に含まれていない」と回答した人の割合に、大きな差はなかった。
ICT支援員認定合格者の約半数が現在ICT支援員として働いていないまたは業務に含まれていないという状況である。
なお、ここで働いていない(含まれていない)と回答した人は(24)現在の職業に進んでもらった。
働いている(含まれている)と回答した人は続けて(8)へ進んでもらった。
(8)ICT支援員として訪問したことのある学校種(複数回答)
学校種 | 人数 | % |
---|---|---|
幼稚園・保育園・こども園 | 8 | 7.1% |
小学校 | 98 | 87.5% |
中学校 | 93 | 83.0% |
特別支援学校 | 3 | 2.7% |
高等学校 | 26 | 23.2% |
専修学校・高専・短大・大学 | 8 | 7.1% |
教育委員会・関連施設 | 36 | 32.1% |
一般企業 | 1 | 0.9% |
ここからはICT支援員として働いているあるいは業務として含んでいる人に回答してもらった。
支援したことのある学校種は複数回答である。
小学校と中学校がほぼ同数で、続いて教育委員会・関連施設と続く。幼稚園・保育園・子ども園での活動や専修学校・高専・短大・大学での活動もみられる。
少数ではあるが一般企業でもICT支援員活動を行っているという回答があった。
(9)最も訪問回数の多い学校種
学校種 | 人数 | % |
---|---|---|
幼稚園・保育園・こども園 | 1 | 0.8% |
小学校 | 85 | 70.8% |
中学校 | 17 | 14.2% |
特別支援学校 | 1 | 0.8% |
高等学校 | 7 | 5.8% |
教育委員会・教育委員会関連施設 | 9 | 7.5% |
総計 | 120 | 100.0% |
(8)は支援したことのある学校種を複数選択してもらったが、この(9)は最も訪問回数の多い学校種を1つ選択してもらった。小学校が最も多くなっている。
(10)ICT支援員の経験年数
経験年数 | 人数 | % |
---|---|---|
~1年未満 | 6 | 5.0% |
1年以上2年未満 | 12 | 10.0% |
2年以上~3年未満 | 16 | 13.3% |
3年以上~4年未満 | 15 | 12.5% |
4年以上~5年未満 | 15 | 12.5% |
5年以上~6年未満 | 14 | 11.7% |
6年以上~7年未満 | 4 | 3.3% |
7年以上~8年未満 | 4 | 4.2% |
8年以上~9年未満 | 3 | 2.5% |
9年以上~10年未満 | 5 | 4.2% |
10年以上~ | 25 | 20.8% |
総計 | 120 | 100.0% |
ICT支援員の経験年数別分布は上表のようになった。3年以下の人が約40%を占めている。
4~6年経験者(中堅どころ)は、約30%。7年以上の経験者もほぼ30%と、経験年齢分布はバランスよく、今後への期待につながっている。
(11)ICT支援員として実際にやってきた(あるいはやったことのある)仕事
仕事内容 | 人数 | % |
---|---|---|
PCの設定変更 | 89 | 79.5% |
ソフトウェアのインストール | 93 | 83.0% |
ネットワーク等の設定変更 | 58 | 51.8% |
利用者アカウントの登録管理 | 70 | 62.5% |
ICT利活用の研修の講師 | 89 | 79.5% |
機器活用事例の資料作成 | 76 | 67.9% |
授業での教師へのICT支援 | 95 | 84.8% |
機器ソフト操作の児童生徒への支援 | 93 | 83.0% |
PC機器の片付け整備 | 95 | 84.8% |
プログラミングの授業の代行 | 61 | 54.5% |
情報モラルの授業の代行 | 58 | 51.8% |
教材作成の代行 | 69 | 61.6% |
ホームページ作成の代行支援 | 73 | 65.2% |
校務処理の代行支援 | 61 | 54.5% |
その他 | 11 | 9.8% |
ICT支援員として実際に行ったことのある仕事内容では、授業での教師へのICT支援、PC機器の片付け整備が最も多く、僅差でソフトウェアのインストール、機器ソフト操作の児童生徒への支援、PCの設定変更、ICT利活用の研修講師が続いている。
その他には授業以外での教師への支援、修理、予算や計画作成の支援等が含まれている。
また、本来は教員の監督のもと支援が実施されているはずであるが、プログラミング授業の代行、情報モラル授業の代行等、を実施したことがあるという回答も半数程度みられる。これはICT支援員の実感としての回答であり、どこまでが支援でどこからが代行かという線引きは難しいところがある。
(12)雇用主体
雇用主体 | 人数 | % |
---|---|---|
教育・情報を主とする会社 | 75 | 62.5% |
人材派遣を主とする会社 | 22 | 18.3% |
教育委員会等 | 15 | 12.5% |
学校法人 | 4 | 3.3% |
その他 | 4 | 3.3% |
総計 | 120 | 100.0% |
現在働いている契約の雇用主体では、教育・情報を主とする会社が最も多く約60%を占めた。
続いて人材派遣を主とする会社の18%、教育委員会等の12%と続く。
その他には自営業等が含まれる。
回答者の多くは自治体雇用ではなく、民間業者に雇用されてICT支援員業務を行っていることがわかる。
(13)雇用形態
雇用形態 | 人数 | % |
---|---|---|
正規雇用社員 | 44 | 36.7% |
契約社員 | 39 | 32.7% |
パートタイム社員 | 23 | 19.2% |
アルバイト | 2 | 1.7% |
個人事業主 | 1 | 0.8% |
嘱託職員 | 4 | 3.2% |
臨時職員 | 5 | 5.2% |
有償ボランティア | 1 | 0.8% |
その他 | 1 | 0.8% |
総計 | 120 | 100.0% |
正規雇用社員として従事している人が約40%であった。
契約社員(30%)の拘束時間は不明だが、社会通念上フルタイムに近い勤務形態と想定されるため、情報支援の仕事にフルタイムで従事している方が、70%以上おられることがわかる。
正規雇用か非正規雇用かという観点では、正規雇用37%に対し、非正規雇用が63%と、多数を占めている。
(14)2018年の年間収入
額面 | 人数 | % |
---|---|---|
~60万円未満 | 15 | 12.5% |
60万円以上~103万円未満 | 9 | 7.5% |
103万円以上~130万円未満 | 11 | 9.2% |
130万円以上~150万円未満 | 4 | 3.3% |
150万円以上~200万円未満 | 16 | 13.3% |
200万円以上~300万円未満 | 27 | 22.5% |
300万円以上~400万円未満 | 14 | 11.7% |
400万円以上~500万円未満 | 1 | 0.8% |
500万円以上~600万円未満 | 3 | 2.5% |
支援員以外の仕事が主なため、計算できない。 | 20 | 16.7% |
総計 | 120 | 100.0% |
アンケートでは「昨年1年間」の「ICT支援員として得た」「額面収入」を聞いている。今回の集計では2018年1年間の源泉徴収票等に記載されている年間収入にあたる。
103万を超えない範囲で仕事をしている方が20%おられ、不要の範囲内(130万未満)で仕事をされている方を合わせると約30%になる。
200万未満の方が約50%、200万~300万の方が20%、300万以上の方が15%という結果になった。
情報支援員だけの仕事で掲載的に自立するには、難しい状況がうかがえる。
(15)労働契約を書面で取り交わしているか
契約書 | 人数 | % |
---|---|---|
取り交わしている | 102 | 85.0% |
取り交わしていない | 18 | 15.0% |
総計 | 120 | 100.0% |
労働契約を書面と取り交わしているかについては85%が取り交わしていると回答した一方、取り交わしていないが15%存在している。
(16)労働契約の期間
契約期間 | 人数 | % |
---|---|---|
1か月 | 1 | 0.8% |
3か月 | 2 | 1.7% |
6か月 | 25 | 20.8% |
9か月 | 1 | 0.8% |
1年 | 36 | 30.0% |
3年 | 1 | 0.8% |
3年1か月以上 | 9 | 7.5% |
契約書に明記なし | 41 | 34.2% |
その他 | 4 | 3.3% |
総計 | 120 | 100.0% |
雇用期間については明記無しが最も多い結果になっているが、そのうち33名は正規雇用社員である。
期限が定められている契約のうち、1年が最も多く続いて6か月であった。
(17)この1か月のICT支援員としての勤務時間
勤務時間 | 人数 | % |
---|---|---|
~20時間未満 | 26 | 25.5% |
20時間以上~40時間未満 | 10 | 9.8% |
40時間以上~60時間未満 | 11 | 10.8% |
60時間以上~80時間未満 | 8 | 7.8% |
80時間以上~100時間未満 | 6 | 5.9% |
100時間以上~120時間未満 | 4 | 3.9% |
120時間以上~140時間未満 | 12 | 11.8% |
140時間以上~160時間未満 | 10 | 9.8% |
160時間以上 | 15 | 14.7% |
総計 | 102 | 100.0% |
この1か月間のICT支援員として勤務した総時間数については、20時間未満が最も多かった。
次に多いのは160時間以上である。
業務内容にICT支援員が含まれているあるいはICT支援員として働いていても、実際にICT支援員として勤務している時間は少ないと回答した人が多いといえる。
(18)給与形態
給与形態 | 人数 | % |
---|---|---|
時給 | 49 | 40.8% |
日給 | 3 | 2.5% |
月給 | 62 | 51.7% |
その他 | 6 | 5.0% |
総計 | 120 | 100.0% |
給与形態について、最も多いのは月給である。
続いて時給である。
この後、時給、日給を選んだ人は(19)時給額を聞いた。月給、その他を選んだ人は(21)主たる生計者へ進んでもらった。
(19)時給(回答49名中)
金額 | 人数 | % |
---|---|---|
1000円未満 | 1 | 2.0% |
1000円以上~1200円未満 | 13 | 26.5% |
1200円以上~1400円未満 | 10 | 20.4% |
1400円以上~1600円未満 | 6 | 12.2% |
1600円以上~1800円未満 | 5 | 10.2% |
1800円以上~2000円未満 | 7 | 14.3% |
2000円以上~2200円未満 | 5 | 10.2% |
2200円以上~2400円未満 | 2 | 4.1% |
総計 | 49 | 100.0% |
(18)で、時給、日給を選んだ人に回答してもらった。日給の人には時給換算を行ってもらった。
最も多いのは1000円以上1200円未満である。小数ではあるが1000円未満も存在した。
2200円以上2400円未満が最高額であるが、仮に最高額の2400円だったとして、1月に20日、1日8時間勤務したとすれば月額384,000円であり、年収にすると約460万円の計算になる。上記の表からは半数以上が300万円以下となり、資格を持つ専門職としての基準値の改善が求められる。
(20)仕事をしている地域(回答49名中)
地域 | 人数 | % |
---|---|---|
東京都23区または大阪市 | 4 | 8.2% |
その他の政令指定都市 | 11 | 22.4% |
政令指定でない県庁所在市 | 3 | 6.1% |
その他の市 | 24 | 49.0% |
地方の町村 | 7 | 14.3% |
総計 | 49 | 100.0% |
(18)で、時給、日給を選んだ人に回答してもらった。
仕事をしている地域では、その他の市が最も多く、続いてその他の政令指定都市が続いている。
町村は約900か所、その他の市は約700か所であるが、時給・日給で働いている回答者はその他の市で多く働いているといえる。
(21)主たる生計者
主たる生計者かどうか | 人数 | % |
---|---|---|
はい(配偶者の扶養あり) | 17 | 14.2% |
はい(配偶者の扶養なし) | 63 | 52.5% |
いいえ | 40 | 33.3% |
総計 | 120 | 100.0% |
ここからはICT支援員として働いているあるいは業務に含まれている人全員に回答してもらった。
半数以上の方が、配偶者の扶養のない主たる生計者であった。主たる生計者でない方を含めると、約85%となっている。
(22)家計を同一にする家族
家計を同一にする家族 | 人数 | % |
---|---|---|
0人(一人暮らし) | 21 | 17.5% |
1名 | 26 | 21.7% |
2名 | 15 | 12.5% |
3名 | 29 | 24.2% |
4名以上 | 29 | 24.2% |
総計 | 120 | 100.0% |
家計を同一にする家族については1人暮らしから4名以上まで、大きな差はなかった。
(23)研修について
回数 | 外部研修(自費参加) | 外部研修(会社の補助有) | 社内研修 |
---|---|---|---|
0回 | 71 (59.2%) | 90 (75.0%) | 45 (37.5%) |
1回 | 16 (13.3%) | 11 (9.2%) | 24 (20.0%) |
2回 | 16 (13.3%) | 5 (4.2%) | 19 (15.8%) |
3回 | 13 (10.8%) | 4 (3.3%) | 7 (5.8%) |
4回 | 0 (0.0%) | 1 (0.8%) | 4 (3.3%) |
5回 | 2 (1.7%) | 1 (0.8%) | 3 (2.5%) |
6回以上 | 2 (1.7%) | 8 (6.7%) | 18 (15.0%) |
総計 | 120 | 120 | 120 |
外部研修(自費参加)に一度も参加していない人は、60%であった。40%の方は、何らかの形で自己研鑽をしておられることになる。ただし、3回以上研修を受けられている方は、10%程度である。
外部研修(会社の補助有)への参加0回の方は、75%と突出して多かった。契約元の会社が、外部研修に対して熱心でないことが窺える。
では社内研修を行っているのだろうか。アンケートからは、社内研修を行っているとはいいがたい。0回のところが約40%。1~2回と合わせると、約75%の方が、殆ど研修を受けていない状況であることがわかる。社内研修6回以上の方が、15%おられることは、喜ばしいことである。
ICT支援員として働いているあるいは業務に含まれている人の回答はここで終了である。
(24)現在ICT支援員として働いていない
と答えた人(118名)の現在の職
現職 | 人数 | % |
---|---|---|
サービス業 | 23 | 19.5% |
ソフトメーカ | 8 | 6.8% |
ハードメーカ | 6 | 5.1% |
その他教育関連 | 17 | 14.4% |
それ以外の企業 | 27 | 22.9% |
自営業・自由業 | 9 | 7.6% |
教育委員会等 | 4 | 3.4% |
小中高教員 | 6 | 5.1% |
大学・研究機関 | 7 | 5.9% |
派遣社員 | 4 | 3.4% |
無職 | 3 | 2.5% |
その他 | 4 | 3.4% |
総計 | 118 | 100.0% |
現在ICT支援員として働いていないあるいは業務に含まれていない人に現在の職業を聞いた。
最も多かったのは「それ以外の企業」である。続いてサービス業となっている。その他教育関連が3番目に多い。
(25) ICT支援員の社会的認知を上げるために必要な活動
必要なもの | 件数 |
---|---|
アピール | 48 |
制度 | 31 |
労働条件 | 15 |
教員 | 3 |
業者 | 4 |
質の向上 | 8 |
情報共有 | 3 |
その他 | 1 |
なし・不明 | 5 |
現在ICT支援員として働いていないあるいは業務に含まれていない人に、ICT支援員の社会的認知を上げるのに必要なものを自由記述で回答してもらった。
※
アピールの中には「ICT支援員という職業のアピール」「ICT支援員が何をできるかのアピール」「教育委員会、自治体への認知促進」「活動事例の公開」「文部科学省へのアピール」等が含まれている。
制度の中には「ニーズとのマッチング」「各学校への配置の制度化・法律化・予算化」「自治体との契約の安定化」「ICT支援員を一言でいえる定義」「カリキュラム等の整備」等が含まれている。
労働条件の中には「ICT支援員だけで生活できる給与」「非正規雇用から正規雇用への転換」等が含まれている。
教員の中には「ICT支援員をお手伝いと思っている教員の意識改革」「教員の知識の底上げ」等が含まれている
業者の中には「ICT支援員事業を行っている業者自身の意識改革」等が含まれている
質の向上の中には「ICT支援員としての質の向上」「教員の仕事をもっと知る」「事例の展開や共有」等が含まれている。
情報共有の中には「ICT支援員同士でのコミュニティの作成」等が含まれている。
6 まとめ
初めて実施された大規模なICT支援員に関するアンケートに、238名からの回答があった。今後も、新しい認定者の1年後を対象として実態を調査し、経年変化も分析できるようにする予定である。 今回は、記述統計のみを公開したものであるが、今後のICT支援員についての議論を行う際の基礎資料として大いに活用されることを期待する。