インターネットを楽しく安全に使おう

概要
ねらい
情報活用のねらい
Step1:不正なWEBページ
Step2:初めての電子メール
Step3:メールの交流とMLへの投稿
Step4:電子メールを安全に使うために
Step5:チャットを楽しく安全に使うために
実践にあたっての留意点

教師用ガイドブック
子ども用ワークシート
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構想グラフ/活動イメージ
電子メールソフトの環境設定と利用
コンピュータ利用のアンケート
情報教育目標リスト(2011年版)
 ◆C11b2-040:受けとった情報が正しい情報かどうかを、意識できる〔認識〕
 ◆C13b2-030:不適切なHPにアクセスした時にどのような対応をとればよいか分かる〔知識理解〕
 ◆C13b2-040:見知らぬ人からのメールは、大人に知らせる〔行動〕
 ◆C13b2-050:変なメッセージを受け取ったり、おかしなページが表示されたら、すぐ大人に知らせる〔行動〕
 ◆C31a2-010:ネットワーク上の情報の中にも、モラルに反するものがあることを知る〔認識〕
 ◆C31a2-060:情報発信や情報のやり取りの場合のルールやエチケットを知り、守る〔行動〕


<実践的に期待される成果 をはっきり示す>
子どもたちがインターネットのブラウザーや各種コミュニケーションツールを使うには多くの課題がある。例えば、好ましくないWEBページへのアクセスや人権侵害の恐れがある掲示板への書き込み、電子メールにおけるSPAMメール、危険なチャットの利用などである。この学習では現実にインターネット上で生起する問題をバーチャルに体験させることによって、インターネットの影の部分への正しい対処法を理解させ、子どもたちのコミュニケーション能力を高めるのを目的としている。
WEBページには正しくない情報や個人情報を詐取する危険なもの、人権を侵害する掲示板などがあることに気づき、そのような情報に接した際の正しい対処法を考えることができる。
電子メールの利用の仕方を学び、メーリングリストなどを活用して意見交流ができるようになる。
SPAMメールに対する対処法を理解し、正しく安全な電子メールの利用方を身につけることができる。
チャットを利用して友だちと意見交流をおこなうとともに、チャットの危険な書き込みに対する対処法を考えることができる。
WEBページに発信されている情報の確かさを多面 的に自分で確かめることができる。
人権を侵害するような掲示板(BBS)への書き込みに注意し、責任ある発信ができる。
電子メールの使い方を知り、MLなどを使って他の人と意見交流ができる。
SPAMメールに対する正しい対処法を身につける。
チャットで意見交流ができ、危険な書き込みに対する正しい対処法を身につける。

インターネットを今まで使ってきて、気になることや心配なことを発表しよう。(0.5時間)

今までインターネットを利用していて、気になることや心配なことがなかったか話し合う。
インターネットのホームページを見ていて、気になったこと。
電子メールのやりとりで気になったこと。
チャットをやっていて気になったこと。


事前にアンケートなどを実施しておき、その結果を発表してもよい。

グループごとに「不正なWEBページ」を見てみよう。(0.5時間)

グループごとに教材の「不正なWEBページ」を見る。
グループごとに担当のページを決めて、問題点を発表できるように話し合う。

「不正なWEBページ」を見てグループごとに考えたことを発表しよう。(0.5時間)

グループごとに「不正なWEBページ」の問題点を発表する。
「のろいのページ」……不確かな情報
「緊急避難情報」……デマ・流言・不正情報
「アンケートに協力してください」……個人情報の詐取
「悪口の部屋」……人権侵害の掲示板(BBS)
「Hの部屋」……成人向けの情報
「かずちゃんのページ」……個人情報の漏出

この学習で学んだことを作文にまとめよう。(0.5時間

この学習で学んだことを作文にまとめる。
校内LANに専用の掲示板などがあればそこに書き込ませてもよい。

パスワードの大切さを知り、電子メールの設定をしよう。(1時間)

あらかじめ決めさせておいたパスワードの意味やパスワードの保護について説明を聞く。
自分のフロッピィーディスクをコンピュータに入れてメールソフトを立ち上げ、自分のユーザー名やアドレス、パスワードなどの環境設定をして保存する。


パスワードが破られると、自分宛てのメールが勝手に読まれるだけでなく、自分になりすましてメールを送られることや金銭の被害にあう可能性もあることを具体的な事例で示すような工夫があったほうがいい。

電子メールを送ってみよう。(1時間)

最初のメールを「自分宛て」に送る。
うまく送れていない場合は、自分の環境設定や宛名の書き方が正しいかどうか確認する。
自分宛にメールが届いたら署名を確認し、必要に応じて編集する。
うまく送れた児童から、クラスの児童や教師のアドレス一覧を渡し、友だちに自由にメールを送って交流する。


注意していないと児童の環境設定や「宛名」のところで半角英文と全角英文を混同する児童が続出するので十分な指導が必要である。メールソフトの環境設定については教師が全児童分を設定してもよい。

メールを使って交流しよう。(1時間)

クラスの児童や教師のアドレス一覧を渡し、自由にメールを送って交流する。
「返信」の意味ややり方を理解し、メールアドレスをいちいち打ち込まなくても簡単に返事が出せることを知る。


メールの内容については後の学習につなげるために、内容面であまり細かく指導せず、自由に書かせた方がいい。ただし、内容に問題のあるメールを送った児童や受け取った児童は必ずチェックをしておき、後の学習の素材にしてもよい。

メーリングリストに投稿しよう。(1時間)

メーリングリスト(ML)のしくみを理解し、クラス全員が参加しているMLへ投稿する。
個人宛のメールと、MLへの投稿のメールとでは意味が全く違うことを理解し、メールを投稿する際には宛先を必ず確認する習慣をつける。


最初のうちは、「こんにちは」程度の簡単なやりとりしか見られないが、次第に無意味な文字の羅列や悪口、乱暴な言葉などをおもしろ半分に送信し合うようになる。このような体験も次時の学習の材料となるので飽きるまでやらせる方がよいだろう。

「SPAMメール」って何だ?(1時間)

投稿1(個人情報の大切さ):こんにちは。私はあなたと同じ小学校5年生の女の子です。私の知り合いの人にあなたのメールアドレスを教えてもらって書いています。もしよろしかったら、あなたにお手紙を書きたいので住所と電話番号を教えてくれませんか?手紙は必ず出しますのでお願いします。
投稿2(チェーンメール):これは不幸のメールです。あなたに不幸を届けます。もし、あなたが別 の5人に同じ内容のメールを書かなければ、きっとあなたに不幸なことがおこります。今すぐ、誰か5人にメールを書いてください。
投稿3(デマ、風評):知っていますか?平和堂の受付の人に新聞のおり込み広告を渡すと500円の商品券がもらえるそうです。先着100人だそうです。急ぎましょう。
投稿4(個人への中傷、いじめ):5年1組の石原さんはいつも超ムカツクことばっかり言います。これからみんなで無視しませんか?賛成する人はこのMLに賛成意見を書いてください。


電子メールの学習の最後に、この学習のまとめとして子どもたちの知り合いの人に実際にメールを送信してみるとよいだろう。個人的に送るべき相手が見つからなかった場合は、教師にメールを送るようにする。実際に、自分の家族や知り合いの方にメールを送ることで、電子メールが実際の社会でごく普通 に使われる通信手段であることや簡単な気持ちで冗談などをしては多くの人に迷惑がかかることなどをリアルに学習できる良い機会である。

「SPAMメール」が来たらどうするか発表し合い、自分の意見を作文にまとめよう。(1時間)

各班ごとに「SPAMメール」に対する対処法を発表し合う。
各班の発表を聞いた後で自分の考えを作文にまとめる。

クラスでチャットを楽しもう。(1時間)

チャットサーバーを校内で稼働させ、子どもたちがチャットを使ってメッセージの交流をおこなう。
チャットでニックネーム(ハンドルネーム)を使うか、本名を名乗るかは学級の実態に合わせて教師が指示する。


チャットの場合、どのコンピュータから発せられた発言であるかはサーバーなどに記録されていることを知らせることが大切である。また自由にチャットをおこなわせると人権を侵害するような書き込みも見られるようになる。その際には全員に呼びかけて問題点を話し合うことが必要である。

危険なチャットの呼びかけが来たら。(0.5時間)

チャットの最中に危険な呼びかけがあった場合にどのように対応するか考える。
○○子 > だれか、プレステ2いりませんか?2台あるので、1台あげる。
○○子> ほしい人は確認するから電話番号教えて。
○○子> プレステ2あげるから、今晩9時に若松神社に取りに来てくれる?
○○子> でも、一人で来てね。お家の人に言っちゃダメよ。

危険なチャットの呼びかけについて話し合い、作文にまとめよう。(0.5時間)

チャットを終了し、今回の「○○子」の投稿について話し合う。
実際に、児童が家庭でチャットに参加していた時の経験を話し合う。
児童からの意見をまとめて、実際のチャットでこのような投稿があった場合の問題点などを確認する。
授業の感想や分かったことを作文にまとめる。


児童が体験したことや、現実にチャットで起こっている事件などを事例として取り上げて、具体的に話し合いを進めていくとよいだろう。

前提とする学習経験

文字入力のスキルがある程度あり、メールの文章やチャットなどの書き込みが負担なくできる。
ブラウザーの操作ができ、ブラウズボタンを使って任意のページを見ることができる。
インターネットで調べ学習をしたり、自分の関心のある情報をディレクトリーサービスやサーチエンジンを使って探した経験がある。

必要な学習環境

グループごとに最低1台の端末があり、校内のLANで接続されている。
WEBサーバーかもしくはファイルの共有で、校内だけでもWEBページの閲覧ができる。
チャットサーバーが稼働し、端末からチャットがおこなえる。
児童一人一人か少なくともグループに一つのメールアドレスがあり、校内だけでもメールが利用できる。