ITCE 教育情報化コーディネータ検定試験

 

旧 ICT支援員能力認定試験に関するFAQ 【2018年以前版】

2018.5

2019年度よりICT支援員上級認定が加わり、制度が変わりました。以下は、2018年までの制度をもとに解答されています。
                            ( 2019年以後の新しいQ/Aは こちら→

A領域では、どのような内容が出題されますか。どのような勉強をすればよいでしょうか。

 本試験は、2013年度6月よりスタートした試験で、まだ過去問題集等は発売されておりません。ICT支援員が身につけるべき能力や役割については、「ICT 支援員の養成に関する調査研究委員会」がまとめた「ICT支援員 ハンドブック」が参考となるでしょう。
http://www.cec.or.jp/cecre/ictsup/ictup_book.pdf

 ICT支援員認定試験では、これらを参考するとともに、実際の教育現場から要求されている様々な問題をクリアできるように、

  1. a) 教育現場や情報技術などでの基本的用語
  2. b) 教育現場で利用されるアプリケーションソフトやファイルの操作
  3. c) 現場で生じる問題に対する状況判断や対応
  4. d) 教育現場で利用されるハードウエアやソフトの設定
  5. e) 学校特有の問題に関する理解(職務、子どもの扱いなど)
  6. f) 情報モラルの指導・セキュリティに関する知識

などの領域から出題されることになっています。

 A領域の試験については、ソフト活用やネットワークなどに関する技術・知識、教育活動・教育組織などへの理解が求められるという観点から、教育情報化コーディネータ3級の問題も参考にしていただければよいと思います。

 なお、ICT支援員能力認定試験の高得点合格者(「ICT支援員 上級」と認定された方)には、教育情報化コーディネータ2級検定の受験資格があたえられます。

B領域(コミュニケーション能力テスト)はどのように評価されるのですか。

 A領域試験終了後、同日中にメールにて課題が送られます。期限内(4日以内)に解答を映像(および音声)にて自録し、送信してもらい、評価します。

 ICT支援員として学校現場で日常的に遭遇する内容への問題解決、あるいは、技術的な内容について、わかりやすく説明するといった課題が出されます。評価観点は、「先生方と実際のコミュニケーションを円滑にできるか」に重点が置かれます。実際に教育現場で、人前で話したり、説明したり、質問にわかりやすく答えたりすることをやってこられたICT支援員の方にとっては特別な準備は不要ですが、不得意な方は日頃からの自己研鑽が必要でしょう。

 提出された映像(および音声)は複数(5名以上)の審査員が観点別に評価し得点化します。審査には時間を要することから、B領域の受験者数が多数の場合(150名を超えた場合)、A領域の不合格者で合格ラインより著しく低い得点の受験者の判定を保留にする場合があります。

A領域のみを受験することは可能ですか。

 申し込みの段階から「A領域」のみの受験も可能としています。

A領域のみ合格した場合、次回にB領域のみ受験するということは可能ですか。

 できません。A領域のみ合格した方は、2年以内に下記に説明する「コミュニケーション能力研修コース」を受講いただくか、あるいは、もう一度A領域・B領域(課題提出)を受験してください。

「コミュニケーション能力研修コース」とは何でしょうか。

 外部の団体、あるいは認定委員会が主催するe-Learningあるいは実研修のコースのことです。 A領域のみ合格した場合は、「コミュニケーション能力研修コース」を、2年以内(A領域の合格認定日から2年以内)に受講し、修了(合格)すればB領域の合格とみなされます。

「コミュニケーション能力研修コース」

 「コミュニケーション能力研修コース」は、年に複数回行われています。
 ただし、「コミュニケーション能力研修コース」をB領域合格と判定する認定委員会は、年4回(通常は6月、10月、12月、3月)の実施となっています。

A領域合格の前に、「コミュニケーション能力研修コース」を受講・修了してもよいでしょうか。

 研修の内容は、ICT支援員能力認定試験を意識したものですので、事前の研修は必ず受験に役立つと思われます。 2015年より2018年4月まで、「コミュニケーション能力研修コース」を先に受講・修了後、A領域の受験・合格、その後にICT支援員として認定する制度を試行的に行ってきましたが、現在は認めていません。事前に研修を受講・終了した場合は、改めてAB両領域を受験して下さい。

ICT支援員の認定証書などは発行されますか。

 はい。ICT支援員として認定された方には、認定日から2カ月ほどで認定証書が発送されます。
 また、希望者には、ICT支援員のライセンスカード(実費2,500円)の発行をしています。

すでに、教育情報化コーディネータ2級(あるいは3級)の資格を持っていますが、ICT支援員の資格もとれますか。

 取得いただけます。ICT支援員はやや実務的な能力の認定が中心になり、コーディネータは、教育の情報化を全体的にデザインする能力が中心になりますが、2つの役割は重なるところもあります。教育現場では、ICT支援員の経験を得て教育情報化コーディネータに育っていくケースも考えられるでしょう。そのような連続性から、ICT支援認定試験の高得点者には、コーディネータ3級試験の合格者に与えられる2級受験資格が与えられることになっています。

 既に2級をお持ちの方にとっては、簡単に思える部分もありますが、異なる領域の能力認定も入っている、別の認定試験になります。

サテライト会場受験というのがありますが、申し込むにあたり、条件はありますか。

 サテライト会場受験は、実施の会場が限定されているため、受験が困難な地域への対応として考えられたものです。
 下記のすべての条件を満たすこととしています。

  • 受験者の合計人数が10人以上であること。
  • 6月、10月の試験と同日同時刻開催であること。
  • 実施の試験会場以外の地域であること。
  • サテライト会場として当日(12時~16時まで)、受験者に1人1台の、インターネットに接続されているPCが割り当てられること(会場の試験実施環境等について動作確認を事前に行なっていただきます)。
  • 人件費・会場費等が発生しないこと(あるいは、自社内で清算していただけること)。

*試験監督者は、認定委員会事務局が任命します。

サテライト会場受験で公平性が担保できるのですか。

 試験は、完全なe-testingで、問題提示、選択肢のランダマイズ化、多様なデータ記録照合、数々の仕組みによって、整合性をチェックしており、実施時間内の不正は困難なようになっています。ただ、成りすましだけは、技術的に見破れません。したがって、監督の役割としては、本人が受けていることの認証(本人確認)と会場準備・進行が中心になります。

 監督者については、試験の仕組みをよく知っており、日ごろからITCEの研修に参加しているその地域の「ITCE2級の会メンバー」にお願いすることにしています。もちろん、適当な人がいなければ本部から派遣することになります。

試験問題は公開されないのですか。

 今のところ公開はされていませんが、2013年の出題より、以下のような例が紹介されています。

■■A領域の問題例■■

【問題 1】(制限時間 150秒)
ある先生から自宅で作ってきたwordのデータが学校では開かないと相談があった。ファイルを見てみると「*.docx」となっていた。以下の対応のうち【適切と考えられるもの】をすべて選び、チェックしなさい。
1. Word 2007より前のバージョンでは、そのまま「*.docx」ファイルを開くことはできないので、Microsoftが無償で配布している「互換機能パック」を追加インストールし、「*.docx」ファイルを表示、編集、保存できるようにする。
2. ファイルの拡張子を「*.docx」から「*.doc」に「名前の変更」を使用して変更する。
3. 校内でWord 2007以降のバージョンのインストールされているパソコンを探す。
4. Word 2007より前のバージョンでは、そのまま「*.docx」ファイルを開くことはできないので、自宅で「*.doc」で保存し直すように伝える。
5. 一太郎などの他のワープロソフトを利用して開く場合もあるので試してみる。

【問題 2】(制限時間 150秒)
 無線LANに関する以下の記述のうち、【正しいもの】をすべて選び、チェックしなさい。
1. ネットワークセキュリティキーは、毎回接続するときに必ず入力が求められる。
2. WEPはすでに古い暗号化形式であり脆弱性が指摘されており、暗号化の方法として用いるべきではない。
3. SSIDは有効な暗号化の方法であり、公開しなければセキュリティが保たれると考えてよい。
4. 無線LANの暗号化や接続の方法は日進月歩であり、新しい情報を入手する必要がある。

【問題 3】(制限時間 150秒)
 以下の説明は、学校教育で用いられている教育関連用語について述べたものである。それぞれ、何を表してるか、【適切なもの】を、選択肢の中から選びなさい。
  1. :教育の目的、理念、義務教育、学校教育などについて明示されている法令
  2. :文部科学省から告示される、学校教育の教育課程の基準
  3. :児童・生徒への学習指導の過程や成果などを要約して記録したもの
  4. :現行の学校制度の根幹である学校の設置や管理などについて明示されている法令

【問題 4】(制限時間 150秒)
 学校のホームページの更新を依頼された。どの様な点に注意をすべきか。【適切なもの】をすべて選び、チェックしなさい。
1.本人にとっても名誉なことだと考え、市の発明コンクールで特選になった児童のA社の特集記事を変更を加えず掲載する。
2.知らないうちに変更される可能性があるので、外部サイトへのリンクは、定期的に確認する。
3. プライバシー保護の観点から、個人情報の掲載については十分に留意する。
4.改正により著作権のコピー制限が緩和されたので、有用な情報は丸ごとコピーしてできるだけ掲載する。
5.迷惑メール等が多く届くので、学校のホームページには、サイト運営先の住所、電話番号、メールアドレスの連絡先は掲載しない。

■■B領域の問題例■■

【問題の設定】
 あなたは、A市のICT支援員で、教育センターのヘルプデスクを担当し、週に1回ずつ各校を巡回して支援にあたっている。ある日、他校への巡回から帰ってきたら、 「学校のネットワークプリンターに職員室のパソコンから印刷したのでけど うまく出てきません。昨日は、うまく出ていました。また、さっき、隣の先生が自分のPCで出力したら、うまくでているみたいです。どうしたらいいですか。」というメッセージが留守番電話に記録されていた。 折り返し電話したが、不在であった。そこで、一方的ではあるが、留守電話にメッセージを残すことにした。
 なお、質問者は、巡回対象の中学校の教諭であるが、面識はない。また、中学校には、情報担当の教員がいるが、その方も含めみなさん技術的にそんなに詳しくはない。

【問題】
 以上の状況を想定して、電話のご本人に対して留守番電話に、120秒以内のメッセージを作成しなさい。

B領域(コミュニケーション能力テスト)の高得点回答例や模範解答は公開されないのですか。

 (個人情報の問題もあり)実際の高得点回答例や模範解答を公開する予定はありません。
 ただ、評価の視点として、情報支援員認定のB領域の課題の問題文中に、(課題提出の要件)と(解答作成上の留意点)が、記載されていますのでその意味を深くお読みいただければ、どのような回答が高得点になるかは予想できると思います。

例えば、これまでの問題では、

◆評価の対象は、話し方(含・表情)、内容 となっており、具体的に
・初めての相手に電話するつもりで、ゆっくり丁寧に話す。
・状況によって対応が異なるようであれば、
 「○○はどうなっていますか? もし××ならば、~~の可能性がある」
 「○○はどうなっていますか? もし××ならば、~~をしてください」
のように、仮説的に(ただし相手が判断できる範囲で)対応を説明すること。

と、説明されています。さらに、

・ゆっくり話していないと減点の対象となる
・問題点の確認や当面の対応に言及していない場合は採点外となる
・表現やアクセントについては、特に問題とはしない
・相手が面識のない教諭であることを前提に丁寧に話をすること

と、評価の視点がおさえられています。

 問題で設定されている状況も重要ですので、問題文をよく読み、ポイントをつかんでおくことも重要です。
 実際の現場では、状況を正確に把握するために何度か情報のやり取りが可能ですが、この出題方式では一方向のみの条件があり、問題文だけでは不確定な状況に(わざと)設定してあります。
 したがって、あらゆる可能性を考えたうえで、「話相手の状況あるいは力量を想定して、どこまでどのように相手に伝えて、当面の対応を指示するか」、また「それを分かり易く相手が納得できるよう説明できるか」、を評価していることになります。