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ICT活用教育の推進と情報モラル
 学校へのICT( Information and Communication Technology)の導入の目的は,従来の教育方法や教材・教具では実現が難しかった教育目標を達成すること,また,児童生徒自身の主体的な学習活動や,発展的・創造的な学習活動を実現することにあります。特に,これからの情報社会に備えて,ICTを問題解決に的確に活用し,情報を収集・編集・判断・発信できるような児童生徒を育てていくには,あらゆる学習の場面で,児童生徒自身にICTを活用させる機会を与えていくことが望まれます。

 しかし,新しい道具を児童生徒に使わせる際には,必ず,安全指導や適切な使い方の指導を行うように, ICTの活用においても,それらの指導が不可欠です。情報モラル教育は,ICT用を効果的に活かすために不可欠の教育と考えていいでしょう。そのためには,児童生徒の実態を把握するとともに,「どのような場面で,どのような学習活動をさせるのか」,「その中でICTをどのように使わせるのか」,また,「そこで押さえるべき情報モラルの内容は何か」,などのマップづくりが必要であり,学級の中で・学年で・学校全体で,継続的にしっ かりと取り組んでいくという先生方の意識が大切です。
日常のモラルがベース
 社会生活や学校生活の中には様々なルールやマナーがあります。みんなが使う公共物を大切にしよう,言葉遣いをていねいにしよう,他人のいやがることや迷惑になる行動はしないようにしよう,思いやりのある言葉を使おう,あいさつをしっかりし,礼儀正しい態度を心がけよう,決まりを守って遊ぼうといった指導項目は,生徒指導や道徳の時間,学級活動で指導する内容です。

 インターネットの世界も社会の一部ですので,インターネットを利用する際にも,日常生活におけるモラルが大切であることは当然です。チャットやブログに人の悪口を書き込む,迷惑メールやコンピュータウィルスをまき散らす,ポルノや残虐な画像をサイトに掲載するといった行為がマスコミなどで報道されていますが,実はこれらは,インターネットの利用の仕方の問題ではなく,「人としてのモラルに反する行為」であるということなのです。したがって,情報モラルの考え方や態度の育成は,パソコンを使うようになってからはじめる対症療法的なものではなく,日常的な心の教育や生徒指導のなかでも,少し時間をさいて行わなければなりません。児童生徒に正しいメッセージを送り続けることで,少しずつ力がついてくるのです。まずは,児童生徒の実態をつかんでください。その上で,学校で必要になる学習内容を絞り,人間として社会で生きる正しい姿勢や態度を育成するためにきわめて大切な,基本的な指導であるという認識の下に,学校をあげて取り組んでいってください。
携帯電話も含まれる
 町の中で悪口を書いた紙をばらまくような行為は,人の目も気になりますので,普通は簡単にはできません。しかし,インターネット上では,人知れず悪意を持って情報を流したり,情報を操作したりすることもできてしまいます。匿名性が高いことを理由に規範意識が薄らいだり,インターネットだから特別に許されているかのような錯覚に陥ったりしておこすモラル違反の行為は問題です。インターネットの世界は公共の場であることや,インターネットの向こうには人がいることを意識しなくてはなりません。

 日常生活では普通なら思いとどまる行為を,軽い気持ちで行ってしまいがちであるため,情報モラルは特別に取り上げて指導することが必要なのです。
地域や学校にもよりますが,これからはネットワークのつながりは,パソコンより携帯電話に移っていき,ますます個人単位になって大人に見えなくなっていきます。携帯電話での利用を視野に入れた指導が重要になります。
一回やればいいわけではない
 ある小学校の6年生担任の先生から,夏休み前に情報モラルの指導をしようと考えていますが,どのような指導をしたらよいでしょうか,と質問を受けたことがあります。

 情報モラルの指導内容には,様々なものがあります。それぞれを一回ずつ説明するだけでは,態度として定着するまでには至りません。そのため,「学級活動の中での説話」,「各教科の指導」,「総合的な学習の時間」,「道徳」といった指導すべきタイミングをうまく設定して,その時その時に応じた内容を指導したり,くり返して指導したりすることがポイントです。

 また,単なる説明,指導だけでなく,友だちと討論したり,インターネットで実際に操作体験したり,資料を活用した調べ学習をしたりするなど,活動の方法を工夫して,児童生徒が情報モラルの重要性を実感できる授業を実践する必要があります。また「教室や廊下の掲示」も有効です。指導内容を計画的に配置し指導することが望ましいのはもちろんの事ですが,各教科の授業や学級活動の中で場に応じて随時行う日常的な指導も必要です。
たとえば,具体的に発生した場面をとりあげて
 ある中学校では修学旅行のまとめを学校のWebサイト上に作ることにしました。そのとき,旅行先の写真をあるホームページで見つけて,その写真をコピーしようとした生徒がいました。この中学校では,インターネット上のWebサイトに公開する資料に,他人が作成した著作物の無断利用はしてはいけないことを指導していませんでした。
しかし,このような具体的な問題が出てきたときが,指導のチャンスです。「やったのは誰だ」といった犯人探しのような授業ではなく,著作物を作成した人にはその権利があり,それを尊重しなければならないこと,文章の丸写しより,自分で考え,伝える相手の立場に立って文章を吟味しなければならないことなどを指導できます。

 以上は一例ですが,コンピュータを使った各教科の授業では,情報モラルを指導できる場面がたくさんあります。その場に応じて,その活動に必要な範囲で情報モラルの指導を行うことは,大変に効果的です。
学校全体の取り組みとして
 校種にかかわらず,それぞれの学校では年間を通した情報教育の年間指導計画のなかに情報モラルの欄を作って,指導事項・指導内容を位置づけるとよいでしょう。また,各学年の児童生徒の発達段階や生活の仕方によって,内容の配置を工夫し,継続的に指導できるようにしましょう。

 情報モラルを総合的な学習の時間で指導したり,各教科等の授業のなかで扱ったりする場合などについても指導計画のなかに位置づけるとよいでしょう。モデルカリキュラムは,その全体計画の構成に役立つでしょう。